みなさま、こんにちは。
8/7は、『祝の島』の纐纈あや監督と、原爆の図丸木美術館の学芸員、岡村幸宣氏をお招きしての対談イベントがありました。
約30年も原発建設に反対し続ける、山口県祝島の人々の暮らしを描いた『祝の島』。
原発反対運動を描いた映画と言うと、目を吊り上げて叫ぶ人々が出てくるようなイメージを持たれる方もいらっしゃるかも知れませんが、この作品は、島の方々の普通の暮らしを淡々と撮ったシーンがほとんど。
作品やネットで拝見したインタビューのイメージから、勝手におとなしくて物静かな女性をイメージしていましたが、実際にお会いしてみると、纐纈監督はとてもほがらかで気さくで元気いっぱいの方でした。

川越スカラ座のご近所のあぶり珈琲さんでの打ち合わせの際には、飲み物だけ頼んだ私を気遣い、ご自分の召し上がっているチーズケーキを「ひとくちいかがですか?」とすすめてくださるような素敵な女性で、お話していていっぺんにファンになってしまいました。
ちなみにあぶり珈琲さんのケーキは、チーズもショコラもかなり美味です。
おすすめ!
岡村さんとの対談では、島の方々との出会いや暮らし、映画を撮るに至った経緯、祝島への思いなどを語ってくださいましたが、どれも監督の素直で優しいお人柄が表れているエピソードばかり。

もともと映画監督を目指していたわけではなく、事務スタッフとして働いていた纐纈さんが纐纈監督となったきっかけは、原発反対運動中の祝島の人々の報道のされ方に疑問を持ったことだそうです。
監督が初めて祝島を訪れ仲良くなった人たちと同じ人ではないような険しい顔で写っている写真を見て、「これは島の人たちの本当の姿じゃない。本当の姿を知ってほしい。何を守ろうとしているのか知ってほしい」との思いから、映画を撮ろうと決意したとか。
そのお気持ちの通り、『祝の島』は祝島のみなさんがどんな環境でどんな生活をし、なぜ原発建設に反対しているかが、説明抜きに感覚としてはっきりとわかるような作品になっています。
祝島の人たちの使っている電気使用量は大変少なく、島に信号はひとつもないし、自動ドアは郵便局にしかなく、島に唯一ある自動販売機は壊れている、作品中に出てくる小学校はその後児童が増えて5人になった、など映画にはないエピソードも対談ではお話してくださいました。

お客さまからの質問にも大変丁寧に答えてくださいました。
纐纈監督のお話は、聞いていてなんというか、腑に落ちるというか、すとんと素直に心に入ってくるような感覚があり、とても素晴らしいトークイベントになったと思います。
テレビでは語られない現実が、映画にも監督のお話にもあふれていました。
対談してくださった岡村さんが、原爆を体験した丸木スマさんの言葉を紹介してくださいましたが、
「ピカ(原爆)は地震や津波とは違う。人が落とさにゃ落ちてこん」
というこの言葉は、3.11を経験した今、私たちの胸により深く突き刺さるような気がします。
原爆も原発も人がつくり、人が人を苦しめている。
おまけに天災とは違い、目に見えない恐怖が何十年、何百年、何万年と続きます。
福島原発の事故、その後の対応、現在の福島を見れば誰でもわかる通り、一度原発を建ててしまったら、もう二度と美しい海や山は返ってこない。
一度事故が起これば、地域の人々の生活はすべて破壊されてしまいます。
祝島の方々は、事故が起こるずっと前からそのことを感覚的に知っていて、だからこそ30年も反対運動を続けているわけです。
自然とともに生きる人々ならではの感覚は、「科学的でない」「根拠がない」などという言葉では片づけられないものがあると思います。
それをこの映画や監督ははっきりと示してくださっています。
当館では12日までの上映ですが、当館での上映に限らず、機会がありましたらぜひ『祝の島』を劇場でご覧ください。

サイン会でもお客様のご質問に丁寧に答える纐纈監督。

監督のサインはロビーに飾ってあります。
トークショー後はご近所のセサミキッチンさんで一緒にお食事をしましたが、島でも飲んで食べて現地の方々と仲良くなったそうです。
一緒に食事をしたりお酒を楽しんだりするというのは、やはり一番有効なコミュニケーション方法ですね。
この時もとても楽しい食事会になりました。
次回作もすでに構想があるそうなので、楽しみに待ちたいと思います。
纐纈監督、岡村さん、そして雷鳴とどろくすごい天気の中お越し下さったみなさま、本当にありがとうございます!
今後のイベントにもご期待くださいませ!